人の悪意が日常になる国 中国の「互害社会」

近頃、厚生省南昌市で働くあるフードデリバリー配達員が、配達プラットフォーム内部に存在する灰色ルールを告発しました。
報道によりますと、配達アプリウーラマが運営するホンパオというクラウド型の配達モードでは、
配達員が通常通り注文を受け取るためには、配達の割当を管理するチームリーダーにタバコを上納しなければならない仕組みになっているといいます。
もしそれをしなければ、配達の仕事を回してもらうことすらできないというのです。
告発した配達員によると、1件あたりの配達収入は、わずか約90円ほどしかありません。
それにもかかわらず、2週間に1度、約5000円相当の高級タバコを、に次ぎ者としてリーダーに渡すよう要求されていたそうです。
単純計算すると、1ヶ月で約1万円弱ものタバコ代が必要となり、配達員が毎日4件分の仕事で稼ぐ金額が、そのままリーダーに吸い取られる形になります。
もし、贈り物を怠れば、リーダーはその配達員を受注グループから追放し、事実上、仕事をさせないようにするのだといいます。
- 何レート?
- 2レート。
- 2レート? 少ない。1ヶ月でいい?
- いけません。
- いけません?
- 全てです。
- みんな?
- 1ヶ月で何を買う?
1ヶ月で1人中華タバコ買う?
- 中華タバコも。
- 1ヶ月中華タバコ買う?
- はい。1ヶ月限定。
- 風より丁度良い?
- 風より丁度良い。1ヶ月でいいよ。
この事件は、告発者がSNS上で実態を公表したことで明るみに出ました。
彼は南昌市内のウーラマ拠点で働いており、新人や上農を拒否した配達員が、リーダーから意図的に遠方や、時間超過になりやすい注文ばかりを割り当てられ、収入が激減していたと証言しています。
投稿された動画の中では、リーダーと見られる人物が電話で、極上の煙草をワンカートン買って、近くのスーパーに置いておけばいい。
それで2週間は仕事を回してやる、と話す音声が記録されていました。
配達員が、1ヶ月続けて仕事をしたい場合は、どうすればいいのかと尋ねると、リーダーは、それなら、中華をワンカートン持ってこいと案に示したのです。
つまり、高級タバコで2週間、中華タバコで1ヶ月という暗黙の取引が、実際に存在していることになります。
暴露者によれば、1人のリーダーの下には、10数人から20人の配達員が所属しており、彼らから受け取ったタバコを転売することで、月に約22万円以上の不正な収入を得ているリーダーもいるとのことです。
南省で発覚したこのタバコ上納事件は、氷山の一角に過ぎません。
中国社会の最下層では、わずかでも権限を持った人が、他人を理不尽に苦しめる構造が広く蔓延しており、底辺同士の相互加害と呼ばれる現象が頻発しています。
こうした小さな権力による搾取は、配達業界に限った話ではありません。
例えば高速道路の検問所や料金所では、一部の職員が検査を名目に、トラック運転手をいじめるケースが相次いでいます。
ある運転手は、3000箱のリンゴを積んで、福建省の後藤料金所を通過しようとした際、農産物のため通行料が免除されるグリーンレーンを利用していました。
しかし、女性所長に、全部煮卸して検査しろと命じられ、嫌なら約10万円の通行料を払えと迫られたと言います。
運転手は、煮卸には時間がかかり、リンゴが痛む恐れがあると訴えましたが、所長は、中を確認しないと通せないと聞き入れず、結局、運転手は通行料を支払って通過しました。
この出来事がネット上で拡散されると、検査を公実にした嫌がらせだと批判が殺到しました。
華南省でも同様の事件が発生し、スイカを運んでいたドライバーが、1玉ずつ煮卸するよう命じられ、拒否すると約11万円の通行料を要求されたと言います。
激怒した運転手はスイカを路肩に投げ捨てて、ようやく通過できたという話もありました。
また、住宅街やオフィスビルでも、警備員と配達員の衝突が、底辺5街の典型例として、度々話題になります。
上海のあるマンションでは、配達員が配達時間を数分過ぎたという理由で、警備員に入場を拒否され、注文がキャンセル扱いになった事件がありました。
警備員は、マンションの規則だと主張して通さず、入口で口論が起きたのです。
多くの地区では、警備員が配達員や宅配員に対して検査料やチップを要求し、応じなければ入場を認めないという行為が常態化しています。
こうした現象は、教習所などの職業訓練施設にも及んでいます。
ある教習生は、人気ブランド・中華のタバコを送らないと練習時間を増やしてもらえず、わざと不便な時間帯に回されたり、試験の順番を後回しにされたりすると告発しました。
これは南城の配達事件と全く同じ構造であり、職務上の立場を利用して支離を得ようとする典型的な事例です。
新型コロナの流行期、中国では3年間にわたる厳格な貿易政策の下で、地域スタッフによる権限の濫用も社会問題となりました。
2022年11月、国流交渉水化市では、コミュニティの貿易スタッフが、心臓病を患う母親のために娘が購入した薬を奪い取るという事件が起きました。
貿易スタッフは、犬をつないでいないなどと、難癖をつけて薬を取り上げ、母親は薬を服用できずに病状が悪化しました。
しかし、このスタッフは警察の介入後も注意にとどまり、自筆的な処罰を受けなかったと言います。
中国人民大学の駐院教授はこう指摘しています。
底辺層の人ほど、わずかな権力を持つと、その力を誇示し、下の者を痛めつける傾向がある。
警備員が配達員をいじめ、管理人が清掃員を失責する。それが今の社会の縮図です。
実際、多くのマンションやオフィスビルの管理現場では、管理会社の職員が規則をたてに清掃員やテナントを罰したり、賃金を減らしたりする事例が後を経ちません。
内部では、誤解の連鎖ともいえる構造が形成されており、誰もがその中で消耗しているのです。
ネット上では次のような声が這いつぎました。
中国人の悪の一つは、手にした小さな権力を使って、他人を最大限に困らせることだ。
底辺同士の誤解は、資源が乏しく、みんなが自分だけは得をしたい、他人が得をするのは許せないという真理から生まれる。
この底辺誤解は単なるモラルの問題ではなく、社会構造、制度設計、文化的背景が、複雑に絡み合った結果です。
それは、最下層の人々が互いに消耗し合い、ゼロサム的な争いを繰り返す、カニバケツ現象として現れています。
一匹のカニが桶から逃げようとすると、他のカニがその足を引っ張り、結局誰も脱出できないという構図です。
中国では底辺層の人口が非常に多く、資源の配分も極めて不均衡です。
社会全体がカニの桶のように競争が激化し、生活の圧力は限界に達しています。
心理学的に言えば、これはゼロサム思考、すなわち他人の得は自分の損を生み出す構造です。
その結果、人々は互いに傷つけ合いながら、自らの小さな優位を守ろうとするのです。
スタンフォード大学、中国経済制度研究センターの上級研究員であり、ボイスオブアメリカの特約評論員でもあるウーグ・オブアン教授は、次のように分析しています。
2024年の中国社会の崩壊は、誤害社会の形成に起因しています。
被害者が加害者を特定できないため、最も身近な弱者に怒りをぶつけるのです。
地方では家族共同体が崩壊し、暴力的な集団が秩序の代わりとなりました。
中国人は戦う民族として育てられてきました。
歴史的な政治運動から教育制度に至るまで、忠誠と競争が奨励され、協調は軽視されてきたのです。
そのため、僅かな権限を持つ底辺層は支配者を模倣し、腐敗こそが生き残るための唯一の手段となっているのです。