家なき子 1977 Nobody's Boy Remi 經典老片場「咪咪流浪記」34

經典老片場
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レミたちは、ひょんなことからサーカスの猿を手に入れた。
その猿は少しひねくれすぎてはいたが、おどろくほどジョリクールにそっくりであった。
そんな楽しい旅を続け、レミたちはやっとの思いで、炭鉱の町バルスに到着する。
たずねたアレクシスはけがをしていたが、レミはアレクシスのかわりに炭鉱で働くことになった。
レミが炭鉱の町で生活するのは初めてである。
まして、深く掘り下げられた地の底へ降りることになろうとは思ってもいなかった。
今あがっていったのは、おそばんの連中さん。
わしらは早晩、つまり朝から夕方まで。
おそばんというのは、夕方から朝まで。
つまり、炭鉱ではだな。
夜も昼もなく、一日中いつも誰かが働いてるってわけだ。
さあ、楽ちんはここまで。あとは歩くんだ。
足元に気をつけてな。
地下水だよ。ここはもう地下百メートル。ちょうどこの真上の地上には川が流れているんだ。
え、するとぼくは今、川底のもっともっと下にいるんですか?
そういうことになるな。
もし天井が崩れて、川の水が落ちてきたら大変ですね。
ちゃんと穴の開かないようなところを調べて掘ってあるからね。大丈夫だ。
レミたちはさらに急な階段やはしごを利用して下へ降りる。
地下二階へ。そして地下三階へ。
地下三階。そこはもう深さ二百五十メートルの地の底であった。
やあ、先生。紹介します。おいのアレキシスの代わりをしてくれるレミです。
よろしく。
うん、よろしくな。
山へ入るのは今日初めてなんです。どうか一つ面倒を見てやってください。
はいはい。
この人は先生と言ってな。もう五十年以上僕も山で入っている大先輩だ。
今でもわしらはわからないことがあるとあの先生に聞きに行くんだ。
ま、この山の生き地引きってところかな。
アクセン。ほらガスパール。おまえ今わしの悪口を言ったの。
言いましたよ。耳が遠いのによく聞こえますね先生。
てのう。このひよっこが。
大したおこだなんだがちょっと気が短いのがたまに傷なんだよ。
地下三階に網の目のように作られたたくさんの鉱洞の先端。
そこに切り刃がある。
切り刃とは石炭を切り出す現場のことでそこがガスパールの仕事場であった。
ガスパールは先山と言って他の数人の男たちと一緒に石炭を切り出す仕事をしている。
レミの仕事はさっきの先生とともにその切り出された石炭をトロッコで運ぶ後山と呼ばれる役目だった。
あれあれ。腰に力が入ってないよ。
そら、あれそれ。
右に曲がり、左に越える。迷路のような鉱洞を通って巻き上げたて甲へとたどり着く。
巻き上げたて甲。そこはトロッコで運ばれた石炭を集め地上へ送り出すところである。
切り端から巻き上げたて甲へ、そしてまた切り端へ。それを一日何度も繰り返す。
それがトロッコ押しの仕事であった。
ガスパールをはじめとし、地の底の男たちはみな頑丈でたくましく、その上ほがらかそのものであった。
レミは思う。仕事は想像以上にきつくつらいものだが頑張れる。
こうなら僕はアレクシスの代わりに頑張って働けると。
先生が教えてくれたのは午前中だけで、午後からはレミは一人でトロッコを押した。
心配いらんよ、レミ。そのコウモリはバサバサとくといってな。
いや、わしらの古いなじみじゃ噛みついたりはせんよ。
先生!
帰り道を間違えてほかのレールに乗ってしまったな。
まあいい。さあさあ、こっちへ来なさい。
どうじゃ、ここはわし専用の部屋じゃ。さあ、ちょっとおやつでも食べていって。
はい。
炭鉱には廃坑といってな。もう使わなくなった小い穴がそこら中に空いておる。
めったなことでは人も入ってくるし。
ま、地底の楽園じゃ。人間は働くばかりが能じゃない。
サボるのも仕事のうちというわけじゃ。ただしみんなには内緒じゃよ。
おお、これはチューチュー一家のおれきれき。
えー、紹介しよう。この子はレミ君といってな。今度入ったわしの仲間じゃ。
よろしく、チューチュー一家のみなさん。
レミ、初日からあんまり気を入れることはないぞ。あとでバテるぞ。
夕方のサイレンが鳴ると早晩の仕事は終わる。
レミのやつ無事に地上へ出てくるかな。
大丈夫よ、マチア。ガスパールおじさんがついてるんだから。
でもよ、初めて三日も地下の真っ暗闇にこもってたんだよ。
あいつはよ、おれと違ってなんとかこう、ちょっと神経質なとこがあるだろう。
だから参っちゃってんじゃないかと思ってよ。
誰が参っちゃって?
誰が神経質だって?
レミ、レミか?
なんだレミ、その顔は。真っ黒けじゃないのかよ。
石炭で汚れた黒い顔は炭鉱の男の勲章であります。
真っ黒けで面白かった。
だったよ。
あ、マチア、見てみて、レミとカピの顔。
いや、まったく川に穴があいたらどうするかと聞かれたときには正直足もドキンとしたよ。
でも一番びっくりしたのはパリの街の下水道みたいにたくさんの行動が張り巡らされてることです。
全部の長さを足すと五十キロ近くもあるんだよ。
え、五十キロも?
何を隠そう、その設計図を作ったのがポール兄さんよ。
え、本当?
人は見かけにいらないって言うが、意外とポールさんってのは大物ですな。
おい、大物だなんて。
は、照れてやんのかわいい。お世辞、お世辞。
あの。
ちょっとやめて、やめて、やめて。
じゃあ、また明日。
ポール、明日の晩は久しぶりにチェスでもやるか。
え、ぜひ。
アレクチス、明日はチーズクッキーを持ってくるわ。
あの猿は決対な猿よ。
今日はさ、お前が炭鉱に行ってる間に、あの猿を連れて街で工業売ってみたんだ。
少しでも稼いでみようと思ってよ。
さすが景気のいい炭鉱の街だ。
小銭がありそうな奥さんや子供たちがたくさん集まってよ。
こりゃ一発大儲けと張り切ったってわけさ。
なんせ、シャバノンに行くまでには立派な名刺を買う金を貯めなきゃなんないからな。
うん。それで、それでどうしたの?
ところが、ところが、あのジョリクルの野郎。
肝心絡めの芸をやろうって時によ。
もう、工業どころじゃねえやね。めっちゃくちゃよ。
サーカスにいた猿だから、人は芸でもやって助けになるかと思っていたのに。
ダメだりゃ。
最低、余計もんのドマヌケザル。
ゴミ捨て場にでも捨てちまったほうがよっぽどマシだ。
でもよ、俺努力はしたんだ。
芝居をやりながら死んだっていう、あの一代目のジョリクルの話をお前に聞いていたからな。
それでよ、あいつに少しは旅芸人の格好だけでもさせてやろうと思ってさ。
街の古着屋で、それと買い物したんだ。
帽子も軍服も、ジョリクルの着てたものとそっくりだ。
そうか、そっくりか。
ところがよ、見ろよ、この傷。
どうしたの?
抵抗されて散々よ。
なんとかその衣装着せようとしてさ。
この野郎!
こそこそ覗きやりやがっても。
ねえジョリクル、お願いがあるんだ。
できたら、おとなしくこの衣装着てくれないかい?
もし、君が良ければなんだけどね。
見ろ、こういう腐ったやつなんだ。
ジョリクル!
まじなこと。
レミは仕事、トロッコ押しの仕事に慣れていった。
そうして楽しい日々が瞬く間に過ぎていく。
街やもまた、興行を打つ毎日が続く。
衣装を変えたへそまがりの二代目ジョリクルが芸をしないのは相変わらずであったが、
街やの顔も単行の街の人々に知られるようになり、
少しではあったが、稼ぎも増えた。
そして一週間が過ぎた。
もう変な天気だぜ。
嵐になるかもしれないよ。
え、それヤバいぜ。
大丈夫だよ。
地下250メートルにいれば、雨も風も関係ないもん。
なるほど、地下ね。
じゃあね。
うん、気づけたな。
レミも結構単行風らしくなってきたぜ。
しかしだ、旅芸人の町屋様としては、この風邪では今日の興行はお休みだな。
え?
ポールさん。
ん?
そんなとこで何してるんです?どっかしたんですか?
ああ、堤防の様子を調べているところさ。
堤防の様子?
うん、そうなんだ。
何しろこの川の下には君も知ってるように炭鉱があるだろう。
だからもし嵐になって堤防が決壊したら、水が地下の高度に流れ込む恐れがあるからね。
え?
万が一にだよ。今までそんなことは一回もなかったし。
それにしっかりした堤防だから大丈夫だよ、町屋。心配するな。
チッ、おどかしくなしにしてよ。
しかし、それから一時間もしないうちに風に激しい大雨が加わった。
僕の夢はポールさんみたいに炭鉱の技師になることなんだ。
だから僕の代わりに慣れない炭鉱で働いてくれてるレミにはとても感謝してるんだ。
もしレミが代わってくれなかったら僕はクビになるところだったんだもの。
レミって本当にいい奴だね。
え?
ちょいとクソ真面目なとこあるけどな。
俺、ちょいと行って様子見てくれ。
様子ってどこな?
堤防をな。気になるんだ。
聞いてくれ!どの大詰めば何とば…
ポールさん、堤防が危ないのか?
そうなんだ。予想以上に雨の量が多くてね。
さあ、街屋。君は早く家へ帰りなさい。
ここは危険だ!
ポールさん!ちょっと来てください!水位がまた上がりました!
もう危険だ!
誰か事務所へ知らせてくれ!地下にいる炭鉱二人を全員地上へ引き上げさせるんだ!
堤防から離れるんだ!撤回するぞ!
ついに堤防が撤回した。そして溢れ出た水は地下の炭鉱へと滝のように流れ込む。
一瞬の出来事であった。
先生もガスパールもそしてレミも地下250メートルの暗闇に閉じ込められてしまった。
みんな!カンテラの火を消すな!火を消したら最後、真っ暗闇だぞ!
